和文印刷の流れと文選

和文印刷のだいたいの流れはこのようになっています。
1. 原稿を作る
2. 文選する
3. 組版
4. 試し刷りと校正
5. 本刷り

 2の文選とは、馬棚に並んだ活字ケースから、原稿に使われている文字を選び拾うことを言います。欧文は文字数(アルファベット)が少ないので、活字ケースから活字を一つずつ拾いながら組版もしますが、和文組版をする人と文選をする人は別の職人がやっていました。よく例に出されるのが宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」に出てくる一節で、主人公が印刷所に入って活字を拾うシーンです。印刷所のおじさんから「これだけ拾ってくれるかい」と原稿を渡され、文選箱と呼ばれる手のひらサイズの箱に文字を拾って詰めて、1箱拾い終わってお給金をもらいました。昔はそんなバイトがあったんですね。