活字の地金彫刻師に会ってきた2

名人のお話が一通り終わると、参加者はグループに分かれて説明を聞きます。清水名人の実演を間近で見るブース、名人が彫った活字(種字という)をルーペでじっくり見るブース、種字から母型が作られる行程の説明を聞くブース、の3ブースをまわりました。
その途中で学んだこと。

  • 名人が1文字彫るのにかかる時間は、簡単な字なら5分、画数の多い字で大きな号数だと1時間くらい。他の地金彫刻師はもっと時間がかかる。
  • 一本の種字から約3個の母型が生まれ、それぞれの母型から約5万本の活字が鋳造される。
  • 言い換えれば、名人の手はたった5分で15万本の活字を生むことができる。
  • 名人は、サンプルがあれば外国の文字でもなんでも彫れる。
  • 名人の種字は、名人の魂がこもっているので、1本30万円くらいでなら売ってもいいと思ってる。
  • 種字の地金を作っている地金屋さんは、今では日本に2社くらい。
  • 母型の作り方。鉛とスズの合金でできた種字に銅メッキをする。メッキが1〜2ミリメートルくらいの厚さになったら、銅メッキの殻を種字からはがして、銅メッキの裏を補強した後、真鍮製の土台に埋め込んでできあがり。


参加者に配られた資料コピーに参考文献一覧があったのですが、どれも流通してない(絶版とか専門的すぎる)ものらしくて、アマゾンさんで検索しても出てきませんでした。国会図書館とか、大学図書館とかで探すしかないかもです。あとは古書店をめぐるとか。
以下、その参考文献をメモしときます。

  • 細谷敏治著「母型 工場必携シリーズA1」印刷学会出版部 1949
  • 山本健二・林米雄著「活字鋳造 工場必携シリーズA2」印刷学会出版部 1950
  • 印刷出版研究所編「凸版印刷専科」印刷出版研究所 1968
  • 高島義雄著「傳書活版技術」日本印刷新聞社 1982
  • 伊東亮次著「印刷技術一般」産業図書株式会社 1960