アダナ復活作業

うちにアダナが届いた当初は、ほとんどのネジが動かない状態でした。インクローラーは樹脂が溶けてベタベタまみれの心棒だけになってるし、ハンドルを動かしてみても途中でひっかかるところがあって、スムーズに動きません。こんな状態のアダナをなんとか使えるように手入れしたときのことを書いておきます。


まずやったことは、全体のほこりやサビをこすって落とすことです。物置に10年以上しまってあったものなので、それなりに薄汚れていました。そして、分解とまではいかなくとも、クリーニングの作業上、取り外したほうがよい部品を外そうとして……サビでネジが回らない。そんなときはKURE5-56をシュッとひとふき! 注油してもすぐには動かないガンコなネジも、一晩おくと油がネジ穴に染み込んで回るようになりました。ついでに目に付いたネジやバネにも注油して、使い古しの歯ブラシでこすってサビを落としてやりました。1週間くらいそれを繰り返すうちに、だんだんアダナ全体に油がまわってスムーズに動くようになりました。
それにしても、アダナってたくさん注油する箇所があるんですねぇ。つか、KURE5-56様、いつもお世話になってます!

そして、溶けてしまったインクローラーは、知人のつてで台東区のローラー工場に頼んで新調しました。心棒を渡して、ローラーの直径と長さを告げて、作ってもらいます。その工場では、今でも名刺印刷に使われている日本製の活版印刷機「テキン」用のローラーを作っているところで、工場のおじさんに「テキンのローラーか?」と訊かれました。おじさんはアダナのことは知らなかったらしく、「テキンと似ているけどもっと小さな外国製の印刷機です」と答えておきました。注文してから10日くらいでできるということだったので、私は2週間後くらいにできあがったローラーを取りに行きました。ちなみに、アダナ5×8のローラーは直径28mm長さ220mmで、2本作ってもらって\8,400でした。アダナ5×8用の新品のローラー(純正のは赤)は今でもイギリスで買えるらしく、オークションサイトに広告が載っています。私のローラーは透明になりました。このローラーも、数年後には溶け始めるので、そのつど、新調してもらうことになります。

あと、うちのアダナにはひとつ、素人ではどうしようもないキズがありました。それは、紙の上下の位置を調節するガイドバー(正式名称は lay gauge clump)の一部にヒビが入っていたこと。ネジを締めるとヒビが広がって、壊れそうです。今のところ取れてはいませんが、そのうち壊れることは予想できるので、今のうちに何とかしなければと思っています。写真の矢印部分がそのヒビ。