表紙用布の裏打ち

製本用に売っている表紙用のクロスは、布の裏に紙が貼り合わさっています。それは、のりを塗ったときに、布が水分を吸って作業がしにくくなるのを防ぐためです*1。したがって、普通の布を使って製本をしたい場合、裏に薄い紙(ロール紙というらしい。洋裁の型紙に使うやつもこれだと思う)を貼って、製本用クロスを作ることができます。これを、裏打ち(日本画とかも裏打ちしますね)といいます。
今回は、某工房での共同制作用に布の裏打ちを自宅で行ったので、その行程をご紹介。
まず、板に布を仮止めします。セロハンテープで四隅をひっぱりぎみにしながら、ピンと張ります。

次に、布より一回り大きい紙にのり(デンプン糊に木工用ボンドを混ぜて強度を増したもの)をまんべんなく塗り、布の上に載せます。しわが寄らないように、ゆっくりそおっと。紙の端を定規などに貼り付けて持ち上げると、紙がヨレなくて良いです。

そして紙の上からタオルなどでやさしくなでます。中心から外へ向かって。全体的に紙が布にくっついたら、今度はブラシでたたきます。たんたんたんっと、布目と紙の間の空気を押し出すように。このときブラシを横に動かしてこすってしまうと、紙が毛羽立つので気をつけます。

そのあとは、乾かして、布の周りにカッターなどで切れ目を入れてはがせば完成です。

数年前に一度教わった方法、ひとりでもちゃんとできたよ!

*1:一般に裏打ちをする理由は、布にコシが出てピンとするからとか、布そのものが作品である場合は作品にダメージを与えずに表装なり展示なりを行うため、という理由もあるけれど、ここでは製本作業上の一番の理由をあげておく。